『紅い椿と悪い虫』底なしの不幸こそ、君がもっとも美しく咲ける場所だ――。

あらすじ

 教師 × 生徒 

私が君を世界で一番不幸にしてあげる。

同性愛者の転校生・白椿は、
転校早々にクラスメイトの変人・貝柄に目をつけられてしまう。
美しいものに固執する貝柄の歪んだ愛情表現でイジメられ、
大人も同級生も信用できず、一人で堪え忍ぶ日々。
そんな中、いつでも真っ直ぐ向き合ってくれる
日向先生の存在が次第に大きくなっていき……。

レビュー

カップリングは先生×生徒ですが、話の主軸は変人クラスメイトと転校生です。
凛とした転校生の白椿くんは自己紹介で自身が同性愛者だとカミングアウトし、浮いた存在に。
そんな白椿くんを一目で気に入ったのが同じクラスで隣の席になった変人・貝殻。

花の美しさは花畑の中じゃ分からない
どんな高価な花瓶に活けたって無駄だ
退廃の荒野に孤独に咲いてなお
変わらない魅力を放っている
それこそ花の美だ

貝殻は芸術品として白椿くんを輝かせるために不幸にすると宣言し、
金で雇った同級生に白椿くんを凌辱させる日々を送る。
かなり厨二病的な思考ですが、絶望の中でこそ輝きを一層強く放つというのは分かる気がします。

また、怒る、悲しむ、苦しむ、泣く、そういった感情が出る時は生を強く感じます。
昔読んだ小説で
「負の表情が魅力的な人は好きですよ、普通の人間だったら醜くなっちゃうでしょう?」※うろ覚え
と言った人がいました。
そういえばこの人も変人でした。笑
しかしなるほどなぁと思います。

先生がひたすらいい人

暴力的描写は薄め

エロシーン

貝殻が残したもの

好き嫌いが分かれる作品だと思いますが、不思議な魅力のある漫画でした。
作画はとてもお上手で描き慣れている感じがしますが、
味と言うにはちょっと雑で画風の安定が見られないので多少落書き漫画のようです。
画風の安定と濃厚さが加わればもっとも好きになりそう。今後に期待です。

ストーリー ★★★★☆
作画 ★★★☆☆
エロ度 ★★☆☆☆
厨二病 ★★★★★
好き嫌いが分かれる ★★★★★

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『夜はともだち』「SとM」。役割以上の繋がりを求めてはいけない……

あらすじ

 ノーマル似非S × 真性ドM 

いたぶること、唯一ゆるされた愛しかた。

顔は可愛いのに、無口で無表情でミステリアスな飛田くん。
飛田くんが、実はゲイでドMだと知った真澄(ますみ)は、好奇心からサド役をかってでることに。
プレイの終了は2人の繋がりも解消されるとき。
しかし真澄はプレイメイトという限定された関係以上を期待するようになって──。

夜はともだち

夜はともだち

夜はともだち

[著]井戸ぎほう

レビュー

SMがテーマのお話です。
SM行為自体は以前読んだ『スニーキーレッド』よりすんなり受け入れられました。
(『スニーキーレッド』は『スニーキーレッド』でじわじわと癖になります。)
相手に喜んで欲しいがために、相手が望む行為をするからでしょうか。

Mである飛田くん(受け)を喜ばせるためと、半ば好奇で似非S行為を買って出た真澄(攻め)
飛田くんが「付き合いきれないと思ったらやめてもいいよ
迷惑かけてまで続けることじゃないし」
と言っていて、

ふ、ふくざつ~~!!

臆病さか、後ろめたさからの言葉かもしれませんが、
別に相手は真澄じゃなくてもいいと言っているようで(はじめは実際そうだと思う)。

この飛田くん、世話焼きにはたまらない属性であると言えよう……!
私生活において、きっと飛田くんは助けなど求めていないと思いますが、
だからこそ放っておけないタイプの子です。
でも時々(無意識に)特別を感じさせてくれたり、(無意識に)嬉しい言葉をくれたり、
徐々に自分のことを話してくれたりと、心を開いてきてくれて。
魔性なの……? ドMで魔性ってすごいコンビネーション。
風邪を引いた後に飛田くんを訪ねた時に真澄は飛田くんの髪の毛を切るのですが、
その時の飛田くんがいつもより饒舌で、いろんなことを話してくれます。
しかし理由が「溜まってた」というのがドキッときました。
彼なりの誘い方だったか……。
SM行為以外で二人の気持ちが徐々に近づいていってるのが分かるのが、ときめきを感じます。
二人の過ごす時間が穏やかで、SM行為とのギャップに萌えました。

途中、SM行為がひどく虚しくなって、
飛田くんを喜ばせるためではなく自分の苛立ちをぶつける真澄の描写はちょっと辛かった……。
飛田くんが好きだからこその葛藤で、
今まではコントロールできてたはずなのに苛立ちに任せて飛田くんに酷いことをしてしまいそうで、
飛田君に触れるのが怖くなった真澄は最後に自分の好きなように優しく抱き、別れを決意する。
結局、飛田くんはその時イけずにいたので、
きっと真澄は飛田くんに酷くできない自分は側にいる意味がないと思ったんじゃないかなぁ……。
切ない。

ラスト、いつも受け身だった飛田くんが自分から真澄を必死に縋るところがとてもよかったです。
描き下ろしの、本編とリンクした見せ方も素敵でした!面白かった!

最後に!
SMシーンではいつもあまり表情を変えない飛田くんが色づくのが色っぽくてとても可愛い!

ストーリー ★★★★★
作画 ★★★★☆
エロ度 ★★★☆☆
SM度 ★★★☆☆
あったかい ★★★★★

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