『宇田川町で待っててよ。』純粋かつ扇情的な、女装男子との恋

あらすじ

 不愛想系高校生 × 女装男子 

どうやらあいつは女の服を着ていると俺に抵抗できない

人通りの多い街中で、同級生・八代の女装姿を目撃してしまった百瀬は、
その日から毎日、「あのこ」のことを考えてしまう。
一方、そんな百瀬の様子に戸惑いつつも、熱のこもった目線をそらせない八代は
渡された女子高の制服に袖を通し、彼の前に立つが――。
臆病な女装男子と、一途すぎる男子高校生の不器用で青いラブストーリー!

レビュー

読了済の本だったのですが、改めて手に取ったらやっぱり素敵だったので取り上げてみました。
ここ数年の最新BL漫画において名作トップ10に入るんじゃないかと思っていた作品なのですが、
初版が2012年だということに驚きを隠せません。4年前……。
ちなみに映画化もされています。
映画『宇田川町で待っててよ。』予告編

さまざまなBLを読破してきたBL上級者の方はもちろん、
激しいのはまだちょっと……なBL初心者の方も楽しめる作品ではないかと思います。
私がBLをまだよく知らない方にBL作品をおすすめするなら絶対これにします。
読んでるこっちが恥ずかしくなっちゃうくらいピュアッピュア純愛です……!
もっと大切にしたいのに上手くいかない、たくさん可愛がりたいのに伝わらない。
そんな不器用な男子高校生の初々しさったら!

女装男子と言っても、受け・八代(女装している方)は同性愛者ではありません。
過去に彼女とノリでやった女装がクセになってしまって、街へ繰り出すようになりました。
ただ何をするわけでもなく、化粧をしてウィッグをつけて女物の服を着て街へ出るだけ。
そして街で偶然女装したクラスメイトの八代を見かけて、
それから八代のことが気になって気になって仕方がない攻め・百瀬の恋物語。

ストーリー ★★★★★
作画 ★★★★☆
ピュア度 ★★★★★
エロ度 ★★☆☆☆
満足度 ★★★★☆
おすすめ度 ★★★★★



キャラクター

百瀬(攻め)

クラスでも地味で、いつも音楽を聴いているか寝ている。ガタイが大きい。
ぬぼーっとしていて根暗そうだが友達はちゃんといる。

八代(受け)

派手なグループに属しているがそこそこ勉強も出来て世渡りが上手そう。
地味だが整った顔立ちをしている。半年前ほどから女装に目覚めた。

萌えポイント

百瀬は童貞

好きな子に対しての距離の詰め方が分かってない。

百瀬が八代に対して「可愛い」「好き」と思う感情を隠さず一直線で押せ押せ

もっと色んな服を着て見せて欲しいと言う。
男だということは問題ではないほどに八代に惚れている。
女装した八代を女の子扱いするわけでもなく、女の子だと思いたいわけでもなく、
きちんと男だと認識しているところがよかった。

逆に八代は引き気味、怖がっている

可愛いと言ってもらえて本当は嬉しい。好きと言われたら逃げ腰。

女装はしても自分は同性愛者じゃないという線引きを頑なに守ろうとする八代

女の子と遊ぶ。好きでもない女の子を抱く。
男に惹かれている自分を認めたくない気持ちと、怯えがある。
その分、百瀬の思いを受け入れ、自分の気持ちを認めた時の幸福感が半端なかった……。

自分の好きなこと(女装)を認めて、
純粋に似合うと言ってくれて、尊重してくれる百瀬が優しい

女装をやめようとする(本当はやめたくない) 八代に、
「俺は好きだから俺のために着てよ」
と言うところが、純粋に八代が着飾っている姿が好きだと伝わってきてキュン……。

女性物の可愛い服にペタンコの胸、
しっかりした首筋や肩幅がアンバランスで倒錯的

ゴツくはないが、普通にしていると女には見えない八代は、
首元がはっきりしない服を選んでいるみたい。

萌えシーン

百瀬には姉(容姿は可愛いが、家ではガサツでだらしがない )がいて、
百瀬と八代が街で会っている時に遭遇してしまいます。
その時、八代は女装(百瀬が姉の洋服を勝手に着せた) をしていて、
女装に気づいた姉が発した「キモ」という言葉にキレた百瀬が

「バカ言ってんなブス!!
てめーの百億倍かわいいわ!!」

と、怒鳴り返すところに!!キュン!!
セリフのチョイスが子どもっぽいところもかわいい。
姉の言葉に傷ついた八代も嬉しいと思っちゃってます……。かわいい。

エロ度

描写もページ数も少ないですが、女性の容姿にミスマッチな男性器(描写薄)がセクシーです。
描き下ろしでは女装していない八代との何度目かのえっち。
自分を気遣う百瀬が余裕に見えて、八代が「童貞だったくせに…っ」と、思うところと、
途中から余裕がなくなる百瀬の必死のガッつきが可愛い!

満足度

男同士というBLの原点に戻れた気がしました。
やっぱり男が男を好きになってしまう葛藤というのは切なくてたまらない。
物語もテンプレというわけでもなく、フェチや萌え要素も詰まっていて満足です。
不器用で可愛い男子高校生の純愛にキュンキュンしたい方はぜひ!

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『ネガ』ダウナー系抉り愛を詰め込んだネガティブ

あらすじ

 オムニバス 

ふたりとも、傷つけて ひとりで、手に入れた

オレたち3人はいつも一緒にいた。
卒業式の日、オレがアイツの想いを拒否するまでは。
だけどアイツらはオレの知らないところで――。
幼馴染同士のヒリつく三角関係を描いた「後悔の海」「スイメンカ」をはじめ、
光る金属に目を奪われてはじまる「ピアスホール」、
ニューエイジな感覚で描かれる「リスタート」、
女子視点からのBLを描いた「わたしたちはバイプレーヤー」など
“ネガ”な作品を一冊に集約した、はらだ節がはじける短編集。

もしもあのときこうしていれば――?
切なさと、後悔と――。
「ネガ」の中で、あなたなりの幸せをみつけてみてください。

BL界を切り開くパイオニアはらだが描く明暗、
二冊同時刊行ネガティブもポジティブも、贅沢にどうぞ。

レビュー

はらださんの2冊刊行!2冊目『ネガ』です。
はらださんの作品の魅力は前回の『ポジ』参照。
『ポジ』と違って『ネガ』は後味悪め。
メリバとまではいきませんが、幸せと取るか不幸と取るかはあなた次第。
そんな作品ばかりです。
病み系かと思いきや救いようのないバッドはないので安心してください。
エロ度は前回同様高め。
しかし『ポジ』よりも『ネガ』の方が純愛だと思います。

作品としては締められていますが、二人がこれからどうなっていくのか、
最終的な結末を読者に委ねているのは面白いところ。
さまざまな愛のカタチを味わいたい方は『ネガ』をどうぞ!

ストーリー ★★★★☆
エロ度 ★★★★★
感情表現 ★★★★☆
後味の悪さ ★★★★☆
クセになる度 ★★★★★

『後悔の海』『スイメンカ』

 幼馴染の三角関係 

『後悔の海』

中学校卒業式前日に男友達から「ホモとかキモイよな」と聞かれ、
卒業式後に別の男友達から告白された。
「ホモとかキモイ」と酷い言葉で振り、そのまま二人と疎遠になり数年後。
「ホモとかキモイよな」と聞いてきた友達と、
自分に告白してきた男友達がキスしているところを目撃する。

思春期だぁ……。
中学生というのは一番多感で人の目を気にしてしまうお年頃。
自分に告白してきた人が自分以外の誰かと付き合ってると知り、
突然独占欲が湧き上がって好きだと自覚する、
そんなエゴイスティックな感情は人間臭くて好きです。
告白された方もした方も、男同士という後ろめたさを感じるのはBLの醍醐味。
ノンケが男からの告白をすんなり受け入れられないのも仕方ないと思ってしまいます。
むしろ切なくていい。
そして人のものになってはじめて形振り構ってられなくなる! 萌え!
しかし後悔先に立たず……。

『スイメンカ』

『後悔の海』の「ホモとかキモイよな」と言った側のお話。
名前表記がないので分かりやすくAとします。
卒業式にCに告白したB、Bに告白されたC。3人は仲良し。
Bのことがずっと好きだったAは、ある日Bに「Cのことが好きだ、卒業式に告白する」と告げられる。

なんでや!!!なんでやァ!!!
女やったら、まだ、我慢したんに、
なんでよりによって、あいつねん!!!
なんで、俺じゃなくて、あいつねん!!!
俺の方が先に、好きになったんに!!!

二人が付き合うなんて、耐えられない。
そう思ったAはCに「ホモとかキモイよな」という言葉を投げてBを振るように仕向ける。
振られたBを慰め、自分じゃだめかと泣いて訴え、二人は付き合うことに。
二人の初えっちが初々しくてエロ……。
AがBを好きで好きで必死な様子とBの初心さが可愛くてキュンとします。
やっと手に入れられたと、AはBを抱きしめながらも後ろめたさを感じて「ごめん」と囁くのでした。
そして二人は大学生になって『後悔の海』に繋がります。

「あん時はごめん。俺も好きや。」

CがBに告白しているところを目撃してしまうA。

なんでやろ、実らせたはずなんに
もう怯えんくていいはずなんに
ふたりとも傷つけて
ひとりで手に入れた
なんでやろ
どっか
どっか

「むなしいなあ…」

うわあああ……。
みんなが主人公のようなので、誰かが幸せになり誰かが不幸になる道が辛い。
はじめにずるいことをしたAですが、Bのことを本当に好きな気持ちが伝わるので自業自得と言って責めることができない。
しかしAがCをけしかけなければBとCは付き合っていたかもしれない。
BはCにまだ未練がありそうなのが切ない……。

『ピアスホール』

 マッサージ師 × サラリーマン 

施術をしていた患者のサラリーマンに不似合いなボディピアスを見つける。

「他の穴も、見たいですか?」

誘われるがままに全身の5つのピアスを見せてもらい、
純粋に美しいと感じた彼・臼井さんと身体の関係を持ち、恋人同士になった二人。
穏やかで幸せな日々を過ごし、このまま順調に関係が進むと思いきや、
5つの穴はそれぞれ昔の恋人に空けられたものだと聞いたことで、
彼の身体の穴を綺麗だと思えなくなり……。

ピアスってエロいですよね。
しかも普段は洋服で見えないところに空けているというのがまたそそります。(同じくタトゥーも)
痛みとともに、自分の身体を飾りをつけるというは倒錯的な行為のように感じます。
お尻に咥えながら攻めの舌に穴を空ける行為が一番興奮しました。

確かに人に穴を空けられたら、その穴がある限りその人のことを忘れられなくなるかも。
だから上書きするために拡張するというのはものすごい独占欲ですね。

臼井さんが淫靡で、始めは攻めを翻弄してるのですが、
最終的に臼井さんの方が攻めから離れられなくなっています。
しかし臼井さん自身が、攻めが自分に執着するように仕向けたようにも見えます。
どっちにしろ、とても幸せそう。

『リスタート』

 ダウナー × アッパー 

『私たちはバイプレイヤー』

 地味系いかつめ高校生 × 王子様系高校生 

一時期話題になった『女子BL』に掲載されていた作品。ギャグです。

『女子BL』とは、
男同士がイチャイチャしている現場が見たい!
むしろ壁になりたいベッドになりたい空気になりたい!
二人が幸せになるために助太刀したい!
愛を深めるための当て馬になりたい!
そんな腐女子の願望を叶えた、女子目線のアンソロジーです。

女子BL

女子BL

女子BL

[著]秀良子 : 志村貴子 : 西田東 : ふみふみこ : はらだ : 市川けい : 小鳩めばる : 糸井のぞ : ためこう : プルちょめ

はらださんのお話は、人格入れ替わりというありがちな設定。
しかしこんな使い古されたネタでもやはり面白い。
才色兼備の姫海さんは、隣の席の皇子山くんに恋している。
そんな中、クラスでも地味な男子脇川くんと人格が入れ替わってしまった!
脇川くん(身体は姫海さん)と一緒にいるところを皇子山くんに見られ、
誤解されたとショックを受けるが、
姫海さん(身体は脇川くん)は皇子山くんに睨まれたり、嫉妬むき出しの言葉を投げられる。
(どっちに嫉妬しているかはお察しの通りですが、ここで皇子山くんが姫海さん(身体は脇川くん)にキス顔を向けてくる(姫海さんは何がしたいのか分かっていない)のがとても可愛かった!笑)

「もしかして皇子山くん、私のこと好きなのかしら」

テンション上がっちゃう姫海さん。
ひょんなことから元の身体に戻るのですが、
その拍子に脇川君の素顔(普段は前髪で顔が見えない)を見てしまい、
ワイルドな容姿にときめいてしまう姫海さん。
そしてある日脇川くんと皇子山くんが離れた空き教室で言い争っているところを目撃。

「もしや私を取り合って喧嘩!?」

急いでその場に向かって止めに入ろうとドアを開けると……♡
好きになった二人が付き合ってました。

ホモに振られちゃう女の子を見て毎度思うことなのですが、

他にいい男見つけて幸せになって!!

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