『夜はともだち』「SとM」。役割以上の繋がりを求めてはいけない……

あらすじ

 ノーマル似非S × 真性ドM 

いたぶること、唯一ゆるされた愛しかた。

顔は可愛いのに、無口で無表情でミステリアスな飛田くん。
飛田くんが、実はゲイでドMだと知った真澄(ますみ)は、好奇心からサド役をかってでることに。
プレイの終了は2人の繋がりも解消されるとき。
しかし真澄はプレイメイトという限定された関係以上を期待するようになって──。

夜はともだち

夜はともだち

夜はともだち

[著]井戸ぎほう

レビュー

SMがテーマのお話です。
SM行為自体は以前読んだ『スニーキーレッド』よりすんなり受け入れられました。
(『スニーキーレッド』は『スニーキーレッド』でじわじわと癖になります。)
相手に喜んで欲しいがために、相手が望む行為をするからでしょうか。

Mである飛田くん(受け)を喜ばせるためと、半ば好奇で似非S行為を買って出た真澄(攻め)
飛田くんが「付き合いきれないと思ったらやめてもいいよ
迷惑かけてまで続けることじゃないし」
と言っていて、

ふ、ふくざつ~~!!

臆病さか、後ろめたさからの言葉かもしれませんが、
別に相手は真澄じゃなくてもいいと言っているようで(はじめは実際そうだと思う)。

この飛田くん、世話焼きにはたまらない属性であると言えよう……!
私生活において、きっと飛田くんは助けなど求めていないと思いますが、
だからこそ放っておけないタイプの子です。
でも時々(無意識に)特別を感じさせてくれたり、(無意識に)嬉しい言葉をくれたり、
徐々に自分のことを話してくれたりと、心を開いてきてくれて。
魔性なの……? ドMで魔性ってすごいコンビネーション。
風邪を引いた後に飛田くんを訪ねた時に真澄は飛田くんの髪の毛を切るのですが、
その時の飛田くんがいつもより饒舌で、いろんなことを話してくれます。
しかし理由が「溜まってた」というのがドキッときました。
彼なりの誘い方だったか……。
SM行為以外で二人の気持ちが徐々に近づいていってるのが分かるのが、ときめきを感じます。
二人の過ごす時間が穏やかで、SM行為とのギャップに萌えました。

途中、SM行為がひどく虚しくなって、
飛田くんを喜ばせるためではなく自分の苛立ちをぶつける真澄の描写はちょっと辛かった……。
飛田くんが好きだからこその葛藤で、
今まではコントロールできてたはずなのに苛立ちに任せて飛田くんに酷いことをしてしまいそうで、
飛田君に触れるのが怖くなった真澄は最後に自分の好きなように優しく抱き、別れを決意する。
結局、飛田くんはその時イけずにいたので、
きっと真澄は飛田くんに酷くできない自分は側にいる意味がないと思ったんじゃないかなぁ……。
切ない。

ラスト、いつも受け身だった飛田くんが自分から真澄を必死に縋るところがとてもよかったです。
描き下ろしの、本編とリンクした見せ方も素敵でした!面白かった!

最後に!
SMシーンではいつもあまり表情を変えない飛田くんが色づくのが色っぽくてとても可愛い!

ストーリー ★★★★★
作画 ★★★★☆
エロ度 ★★★☆☆
SM度 ★★★☆☆
あったかい ★★★★★

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『よるとあさの歌』シンプルな、非常識。むせかえる濃厚さがクセになる。

あらすじ

 おバカ系チャラめボーカル × クール系天然ベース 

アイツの歌声を聴いてから、うるさく響く心臓、滾る欲望。

女にモテたくて仲間とバンドを始めた朝一。
そんな朝一がボーカルを担当している弱小バンドにサポメンで入ってきたヨル。
ライブの後のちょっとした「お遊び」の時に起こった一度のアヤマチ。
それをきっかけに、ヨルは朝一への想いを明らかにしていく。
「男同士なんて気持ちワリィ…」と嫌悪感しかなかったはずの朝一なのに、
衝撃的なヨルの歌声に思わず欲情し、場所を問わず乱暴にカラダを求める日々へと変わる。
朝一を一途に想い続けるヨルを軸に、
めまぐるしく加速する欲望、暴走する嫉妬、それぞれのキモチの行方は……?

進化し続ける鬼才はらだが描く2nd Qpa collection、解禁!

レビュー

はらださんの作品は短編だと長く感じて、長編だと短く感じる不思議。
長編の物語が「内容が薄くてすぐ終わる」というわけでなく、
短い期間の話を濃密に描いてくれるので、長編を読んでいてもページ数の割にだるさがない。
逆に短編だと、長い期間にあった出来事の要点だけを簡潔にまとめて話が展開していくので、
短いお話でも長い物語を読んだ気になります。
時間の扱い方がとても上手なんだと思います。

内容に関しては、いや~エロかった。
エロシーンはもちろんのこと、ライブシーンの熱と汗と迫力。
ライブと言えば、
「お客さんの声援や爆音、大勢の中で歌うことで興奮が高まって
ライブ中やライブ後に勃起してしまうことがある」

というアーティストの話も聞いたことがあります。
自分の意志とは関係なく性的興奮に繋がるのってなんだかエロい。

朝一(攻め)はそういった中でヨル(受け)に惹かれていきます。
気に食わない存在だったヨルの歌声(ヨルが所属していた元バンドの復活ライブ )を聴いてから、
ヨルに対しての興奮が治まらない。
ライブハウスのアンコール待機中にトイレでやっちゃったり、
出番の待機中に客席でやっちゃったり……!
女の子大好き根っからのノンケで若干ホモフォビアな朝一が自分の意志とは関係なく
ヨルに惹かれて興奮して、でも認めたくない俺はホモじゃないと葛藤します。
必死に抗おうにも、男が男に惹かれてしまうほどのパワーが萌えです。

ただそれだけで終わらないのがはらださん。
自分のことを好きなヨルや、取り巻きの女の子に好き勝手してきた朝一。
そんな朝一がオトシマエと称して凌辱される描写があるので、
エグい表現や攻めが犯される描写が苦手な方は気を付けて!

キャラクター

朝一

女の子にモテたいがためにバンドを始めた。
しかし作詞も作曲も楽器もセンス皆無なのでボーカルをやっている。
女の子に手が早く、いつもファンをつまみ食いしている。

ヨル

元々はボーカルだったが現在は朝一のバンドのサポメン(Ba)。
クールでかっこよくて女の子のファンも多いが、
歌っている時の尋常じゃない色気から男のファンも多数。
朝一の影響でバンドを始め、その頃からずっと朝一に憧れている。
誰とも付き合ったことが無く、童貞かもしれない。

しおり

バンド好きのキャバ嬢。ヨルが好き。朝一に気に入られてセフレになる。

いおり

しおりの兄。インテリ系893。ヨルの歌声を聴いて勃起して以来ヨルが気になる。

ストーリー ★★★★★
作画 ★★★★★
エロ度 ★★★★★
鬼畜893度 ★★★★★
物語に引き込まれる度 ★★★★★

おすすめ度MAX!



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